株価算定におけるディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)では、将来のフリー・キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて株価算定を行います。フリー・キャッシュ・フローは、どうやって計算するのでしょうか。
フリー・キャッシュ・フローの計算式
フリー・キャッシュ・フローとは、企業が事業活動を通じて得た資金のうち、自由に使える額です。
フリー・キャッシュ・フローの計算におけるキャッシュ・フロー計算書の利用について
一般的なキャッシュ・フロー計算書には、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローが示されています。よって、対象会社のキャッシュ・フロー計算書から数字を拾うことで、フリー・キャッシュ・フローは容易に計算できます。
しかし、キャッシュ・フロー計算書は、上場会社など大手企業では作成しているとしても、中小企業では作成していないことが多いのが実情です。
だからといって、フリー・キャッシュ・フローが計算できないということにはならず、会社の事業計画に基づいて計算することになります。
フリー・キャッシュ・フローの計算における事業計画の利用について
キャッシュ・フロー計算書を作成していなくても、対象会社の将来の事業計画が作成されていれば、フリー・キャッシュ・フローを計算する為の資料として利用することがあります。
事業計画の検討
事業計画をフリー・キャッシュ・フローの計算の前提の資料として利用するならば、事業計画の内容を吟味して慎重に検討することが必要です。
事業計画の是非を判断することは、本来の株価算定の目的ではありません。しかし、事業計画が見積計算の根拠になるので、作成された事業計画の前提条件や計画内容の合理性、計画の実現可能性を検討します。
事業計画も作成されていない場合
たとえ紙面で事業計画が作成されていなくても、会社の経営者は、普通、今後の事業について全く何も予測していないということはありえません。紙面の形になっていなくても、何らかの見通しは持っているものです。
事業計画の内容が不十分な場合
対象会社が作成した事業計画を検討した結果、事業計画の合理性や実現可能性の面で内容が不十分という印象を持つことがあります。
そもそもの計画見通し自体が合理的ではない場合もありますが、努力目標とする高い数値を事業計画と設定している場合もあり、背景は様々です。
対象会社の経営者へのインタビュー等を通じて、当初会社が作成した事業計画の一部又は大部分を補正する場合があります。
まとめ
ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)におけるフリー・キャッシュ・フローは、そもそも将来を予測した見積ですが、何に基づいて見積計算をしたか、見積の根拠には論理が必要です。
中小企業では、キャッシュ・フロー計算書が作成されていないことや、事業計画の内容が不十分なことが多いですが、株価算定の実務上、一部又は大部分を補正した事業計画を利用することが多いです。
ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)は株価算定の方法としてよく利用されますが、複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたらご相談ください。