M&Aを進める際に、株価算定と財務デューディリジェンス(財務DD)を専門家に依頼する場合があります。株価算定と財務デューディリジェンス(財務DD)の意義をふまえつつ、どのようなM&Aの場合に専門家に依頼するのか、以下でご説明いたします。
株価算定とは
株価算定とは、会社の株式の価値を算定することであり、バリュエーション、企業価値評価という場合もあります。
株価算定は、M&Aや事業承継の場合、増資する場合、相続税や贈与税を計算する場合など、様々な場合において必要になります。
会社の株式や事業の売買時の取引金額の決定、裁判で会社の株式や事業の価値を説明するときの金額の裏付け、税務処理や会計処理での評価額の計算などを目的として、株価算定が行われます。
財務デューディリジェンス(財務DD)とは
財務デューディリジェンス(財務DD)とは、M&Aで企業や事業の買収を検討する際に、譲渡対象先の財務の面でのリスク等を把握するために行われる調査であり、買収監査という場合もあります。
企業や事業を買収する際には、多くの場合、譲渡対象先の純資産の実態及び正常な収益力を把握するために、専門家に調査を依頼します。
M&Aで企業や事業を買収する前に、譲渡契約を締結する上でのリスクを把握すること、買収価額や契約条件を検討すること、買収後の効果を検討すること等を目的として、財務デューディリジェンス(財務DD)が行われます。
M&Aにおける株価算定及び財務デューディリジェンス(財務DD)
M&Aの時の譲受側では、譲渡対象先の株価又は事業価値の検討、譲渡対象先の財務面のリスクの洗い出しを行うために、専門家へ株価算定と財務デューディリジェンス(財務DD)を依頼することがあります。
M&Aの際は、いつ、いかなる場合でも、株価算定と財務デューディリジェンス(財務DD)が絶対必要というわけではなく、法律や規則で株価算定と財務デューディリジェンス(財務DD)が要請されているというわけでもありません。
しかし、専門家へこうした業務を依頼することでM&Aの検討や判断に役立つ情報を得れると期待されることは多く、現行の実務では、特に慎重に検討を進めていきたい案件や、規模が大きい案件になるほど株価算定と財務デューディリジェンス(財務DD)を専門階へ依頼するのが一般的です。
特に上場会社がM&Aを進める場合には、社内及び社外へのM&Aの検討プロセスを明確にし、監査法人への説明も必要となります。通常は、信頼性のある専門家へ株価算定及び財務デューディリジェンス(財務DD)を依頼し、報告書を入手・保管します。
まとめ
今回は、M&Aにおける株価算定と財務デューディリジェンス(財務DD)についてご説明しました。
現行の実務では、M&Aの検討や判断に役立つ情報を得ることを期待し、特に慎重に検討を進めたい案件や規模が大きい案件において専門家へ依頼することが一般的です。特に上場会社では社内及び社外への説明責任があるので、信頼性のある専門家へ依頼するのが通常です。
M&Aや事業承継、株価に関する裁判や係争問題、経営戦略の検討など、重要な場面で株価算定が行われることがあります。株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたらご相談ください。