株価算定を依頼する場合、どのようなところへ依頼すればよいのでしょうか。また、どのようなことに留意すべきでしょうか。以下でご説明します。
株価算定を依頼する候補先について
株価算定は案件によって株価算定を必要とする背景や目的が異なりますし、評価する対象会社の経営状況も異なります。株価算定の案件の状況によって依頼する先を検討すべきであり、下記では一般的な候補先としての公認会計士、税理士、その他の業者についてご説明します。
公認会計士
公認会計士に株価算定を依頼する場合として、公認会計士個人事務所が請ける場合、監査法人が請ける場合、公認会計士が経営する事業会社が請ける場合があります。
一般的な公認会計士の株価算定では、日本公認会計士協会から公表されている経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」をふまえて、対象会社の純資産や利益や経営などの実態を総合的に評価します。最終成果物として株価算定書が提示されます。
税理士
税理士に株価算定を依頼する場合として、税理士個人事務所が請ける場合、税理士法人が請ける場合があります。
一般的な税理士の株価算定では、財産評価基本通達に沿った相続税・贈与税の申告書作成及び納付を目的として、評価対象の非上場会社の株式の評価額を算定します。税理士が作成する申告書一式の中に、評価対象会社の株価算定書が別表として含まれます。
その他の業者
上記の公認会計士、税理士の他に、M&Aで会社を譲渡する案件に金融機関(銀行、証券会社)やM&A仲介会社などの業者が関与する場合があります。こうした業者は、対象会社の株価の目安を計算して取引当事者へ伝えることはありますが、通常は、本来的な意味合いでの株価算定の業務を請けることは想定していません。従って、文書で株価算定書を提示するのではなく、対象会社の株式の評価額を口頭又は数枚の紙面で伝えることが多いです。
株価算定を依頼する先について考慮すべき事項
株価算定を依頼する先の、資格の必要性について
現状では、株価算定について資格制度は導入されていません。よって、株価算定を業務として請ける側には、資格が必須の要件となっていません。しかし、一般的には株価算定を担当した人の資質や信頼性が問われることに留意が必要です。
例えば、弁護士や法律事務所が関与し、裁判に発展するような案件では、弁護人、相手方、裁判所が株価算定書を読みますし、株価算定の担当者の資質は確認されます。親族間で非上場株式を譲渡した場合の評価額の合理性が問題になる案件であっても、重要なM&A案件の譲渡価額であっても、やはり株価算定の担当者の資質や信頼性が問われることは想定しておく必要があります。
株価算定を依頼した後に、仮に、株価算定書が裁判に通用しない、など思わぬところで失敗して損害を被ることを避けるためには、資格保有者に依頼すべきです。
株価算定には資格は必須の要件ではないとはいうものの、株価算定の担当者の資質、信頼性、責任を考慮すれば、公認会計士、税理士の資格保有者に依頼すべきです。
株価算定を依頼する先の、専門性の必要性について
相続税・贈与税の申告・納付を目的とした株価算定を税理士に依頼する場合であっても、対象会社の経営等の実態を評価した株価算定を公認会計士に依頼する場合であっても、株価算定は複雑で専門性は高いものです。
株価算定は、単純で機械的な計算をするというものではなく、複数ある評価方法の中から適切な評価方法を選択し、その選択の理由には論理が必要となります。案件によっては、対象会社の経営状況の見通しが複雑な場合もありますし、税務上の判断や見解が複雑な場合もあります。
実際のところ、株価算定には専門性が必要であり、専門知識やノウハウが有るところに依頼すべきです。
株価算定を依頼する先の、独立性保持の必要性について
公認会計士が株価算定を請ける場合、利益相反の関係を排除して第三者の立場から客観的な評価をすることが前提となります。株価算定を依頼する先との間で利害関係が生じておらず、独立性が保持されていることが必要です。
株価算定を依頼する場合の報酬について
株価算定自体、案件によって背景や目的が異なるばかりではなく、対象会社の経営状況も異なります。よって、株価算定の報酬を一律に示すことは難しく、案件の内容や依頼先によってある程度の開きが生じます。
弊社の場合、株価算定の料金は案件別でご相談させていただいております。弊社がこれまで受嘱してきた株価算定の対象会社の大半が年商数億円から約10億円の規模であることを踏まえ、下記のとおり弊社HPで記載しています。
・評価対象が年商10億円以下の中小企業の場合で、報酬の目安は、50~100万円(消費税別)
・裁判目的であれば、評価対象が年商10億円以下の中小企業の場合、報酬の目安は、100万円(消費税別)
株価算定を依頼する場合のスケジュールについて
株価算定を専門家に依頼する場合、依頼してから最終の成果物である株価算定書を入手するまでにある程度の時間が必要です。
株価算定に必要な資料や情報の提供から始まり、株価算定の判断過程と結論の最終の文書化に至るまでの期間は、案件の規模や複雑性などで異なりますが、ある程度のスケジュール感を示してもらえるところは株価算定の依頼先として望ましいといえます。
案件によりますが、弊社では2~4週間程度を目安としています。
株価算定を依頼する場合の事前の相談について
株価算定を専門家へ依頼することを検討する際、事前に株価算定の過程や結果を可能な限り把握しておきたい、という場合があります。こうした事前の相談に柔軟に対応してもらえるところは、株価算定の依頼先として望ましいといえます。
弊社では、事前に問合せいただき、株価算定を必要とする理由や案件の背景、対象会社の経営状況などをお聞かせいただければ、可能な範囲でご説明いたします。
まとめ
株価算定を依頼する場合、どのようなところへ依頼すればよいのでしょうか、そして留意事項についてのご説明でした。
依頼する先としては、公認会計士、税理士の資格保有者で、株価算定の専門性やノウハウを持ったところが望ましいといえます。
仮に弊社にご依頼いただく場合は、基本的に、公認会計士、税理士の資格保有者である代表者が株価算定の担当者になることを前提とし、報酬やスケジュールなども事前にご相談いただければ可能な範囲でご説明いたします。
株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたら弊社までご相談ください。