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「株価算定士」という資格があるのか

名刺を出すビジネスマン

株価算定の業務に資格は必要なのでしょうか。「株価算定士」という資格があるのでしょうか。株価算定は誰に依頼すればよいでしょうか。下記でご説明いたします。

株価算定は資格がなくてもできるのかどうか

現在、株価算定は特に資格がなくてもできる業務となっています。

株価算定が必要となるのは、M&A、事業承継、増資などの重要な局面で、比較的大きい取引金額になる場合が多いです。株価算定は複雑で専門性が高く、請ける側の資質や信頼性も問われますので、株価算定の業務には資格を必要とすべきではないかという話もあるのですが、現在のところは資格制度の導入には至っておりません。

株価算定とは

そもそも株価算定とは、M&A、事業承継、増資などの場合に、株式や事業の売買時の取引金額の決定、裁判のときに主張する金額の裏付け、税務や会計の処理の時の評価額の計算などを目的として、利害関係の無い第三者の立場から株式価値を算定するものです。

株価算定は、依頼者から基礎資料を入手し、資料の査閲や質問を通じた検討を重ね、適切な評価方法を選定して株式価値を計算します。最終の成果物として、依頼者には株価算定書を文書で提出します。

株価算定の専門知識やノウハウについて

株価算定の業務は資格がなくてもできますが、実際のところは簡単にできるようなものではなく、株価算定の専門知識やノウハウがないとできません。

株価算定は、単に計算式に数字をあてはめて機械的な計算をするようなものではありません。株価算定の業務では、適切な評価方法を選択するにはどうすればよいのか、また、なぜその評価方法を選択するのか、ということが重要です。適切な評価方法の選択は案件ごとに異なりますし、なぜその評価方法を選択するのかということについては論理が必要ですから、株価算定には専門知識やノウハウがないとできません。

関連する下記の記事をご覧ください。

「株価算定の方法~適切な評価方法を選択するにはどうすればよいのか」

株価算定の方法~適切な評価方法を選択するにはどうすればよいのか

「株価算定の方法~適切な評価方法の選択時の留意点」

株価算定の方法~適切な評価方法の選択時の留意点

株価算定に関連する資格について

今の日本国内の資格は、大きく分けると、国家資格、公的資格、民間資格の3つに区分されます。

この内、株価算定に必要な資格はありませんが、関連する資格としては、国家資格の「公認会計士」と「税理士」が該当します。

ちなみに、「株価算定士」という資格は聞いたことがありません。

公認会計士が行う株価算定は、一般的には、日本公認会計士協会から公表されている経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」をふまえた、企業の純資産や利益や経営など実態を総合的に評価するものです。 税理士が行う株価算定は、一般的には、財産評価基本通達に沿った相続税・贈与税の税金計算を目的としたものです。

株価算定は誰に依頼するべきか

株価算定は案件ごとに様々ですが、これまで弊社にご依頼をいただいた案件は、下記のような場合が中心です。

その1:上場会社や中堅規模の会社で財務・経理の部門の責任者及び担当者からの、グループ会社やM&A対象会社の株価算定のご依頼

その2:株式価値や事業価値が争点となった裁判・係争案件を担当の弁護士からの、裁判で通用するような株価算定書のご依頼

その3:オーナー企業の経営者からの、税務上の対応を目的とした株価算定書のご依頼

上記のいずれも、ご依頼いただいた背景には、公認会計士と税理士の資格と、株価算定の専門知識やノウハウを保有している者が対応することが前提になっています。

株価算定は、資格と専門知識とノウハウが有るところに依頼すべきです。

資格と専門知識とノウハウが無いところに依頼することによって、大なり小なり、間違った株価算定が行われてしまったり、裁判に通用しなかったり、後々に不具合が判明したり、思わぬところで重大な損害が出ることは避けるべきです。

株価算定士という資格は無いが、専門家に依頼すべき

現在、株価算定は特に資格がなくてもできる業務となってはいます。

しかし、実際のところ株価算定は複雑で専門性が高く、後々に思わぬところで重大な失敗することを避けるためには、公認会計士と税理士の資格と、株価算定の専門知識やノウハウを保有している専門家に依頼すべきです。

M&Aや事業承継、株価に関する裁判や係争問題、経営戦略の検討など、重要な場面で株価算定が行われることがあります。株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたら弊社までご相談ください。

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