株価算定は、どのようなタイミングで専門家へ依頼すればよいのでしょうか。株価算定を依頼する時期について、考慮すべきことはあるのでしょうか。以下でご説明します。
株価算定を依頼するときの状況
株価算定を依頼する状況は様々で、案件ごとに株価算定の目的や評価対象会社の経営状態が異なります。よって、株価算定を依頼するときの状況を一概に示すことは難しいですが、例を挙げるとすれば以下の通りです。
相続税及び贈与税の申告・納付で株価算定を依頼するときの状況
相続税及び贈与税の申告・納付のために非上場会社の株価算定を依頼する場合があります。相続税及び贈与税の申告書提出と納税の期限に間に合うように、株価算定を依頼することが必要です。
相続税は、相続税法第27条に基づき、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ申告書を提出して納税します。
贈与税は、相続税法第28条に基づき、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地を管轄する税務署へ申告書を提出して納税します。
M&Aで会社の株式を売買する際に株価算定を依頼するときの状況
M&Aにも様々なケースがありますが、主として、専門家に依頼して入手する株価算定書を相手方との条件交渉に利用する場合と、専門家に依頼して入手する株価算定書を会社内部の稟議決裁や会議資料など社内決裁に利用する場合があります。
前者の場合は、条件交渉を目的として取引の相手方へ株価算定書を提示する時期を想定します。後者の場合は、取締役会や経営会議など社内での承認決裁の時期を想定します。いずれの場合でも、M&Aの案件のスケジュールを考慮して株価算定を依頼することが必要です。
裁判目的で株価算定を依頼するときの状況
裁判目的の場合は、基本的には、自身が考える金額と論拠の正当性を主張する裏付けとして専門家へ株価算定書の作成提示を依頼します。
こうした裁判目的の株価算定書は、自身と相手方の他に、自身と相手方の双方の弁護士、裁判所が査閲して検討されることが想定されます。
裁判のスケジュールや関係者へ株価算定書を提示するタイミングを考慮して株価算定を依頼することが必要です。
上記の他にも様々なケースはありますが、株価算定の案件が関係するスケジュールを考慮することには変わりありません。
株価算定を依頼してから完了するまでの期間
株価算定を専門家に依頼する場合、依頼してから最終の成果物である株価算定書を入手するまでにある程度の時間が必要です。
株価算定を受諾する側は、必要な資料や情報を依頼者側から入手し、文書の査閲や質問対応を通じて検討を進め、株価算定の判断過程と結論を記載した文書を交付します。
初期の段階で評価対象会社の直近数年分の決算関係資料一式を入手し、評価対象会社の情報を収集・整理します。更に検討を進め、適切な株価算定の評価手法を選択し、対象会社の具体的な株価算定を行い、株価算定書を作成します。
株価算定を依頼してから完了するまでの期間は、案件規模、株価算定の複雑性、評価対象会社側の資料等の準備の状況の他に依頼する先によっても異なりますが、弊社では2~4週間程度を目安としています。
株価算定を依頼するときは、事業年度末や確定申告時期を考慮すべきか
株価算定書を依頼する背景や目的は案件ごとに異なるものですが、評価対象会社の株価算定を行うにあたり、いつの時点を基準とするのかという、いわゆる評価基準時点を決める必要があります。
評価基準時点について、実務上では、直近の決算期末時点、直近の月末時点、とすることが大半です。
よって、評価対象会社の決算期末を意識して、税務申告書や勘定科目明細などの決算資料一式が手配できる時期を考慮して株価算定を依頼する場合が多いです。
株価算定を依頼するときは、依頼資料の準備の状況を考慮すべきか
株価算定には、一般的には、直近3~5年分の評価対象会社の決算書、税務申告書、勘定科目明細書の準備は必要です。しかし、案件によっては、対象会社の今後の事業計画書が必要となる場合もありますし、特に対象会社が重要な不動産を保有するなら固定資産税課税明細書が必要となる場合もありますので、一概には依頼資料の範囲を確定できないという面があります。
依頼資料を入手しなければ株価算定の検討を進めることができないので、対象会社側の依頼資料の準備の状況を考慮することは必要です。
株価算定を依頼する時期の相談について
株価算定を専門家へ依頼することを検討する際、事前に株価算定の過程や結果を可能な限り把握しておきたい、という場合があります。また、どのようなタイミングで専門家へ依頼すればよいのか、株価算定を依頼してから完了するまでの期間としてどれくらいかかるのか、を確認しておきたい場合があります。
弊社では、事前に問合せいただき、株価算定を必要とする理由や案件の背景、対象会社の経営状況などをお聞かせいただければ、可能な範囲でご説明いたします。
まとめ
株価算定は、どのようなタイミングで専門家へ依頼すればよいのか、というご説明でした。
株価算定の案件が関係するスケジュールと、依頼してから完了するまでの期間を考慮することが必要です。評価対象会社の評価基準時点を決める必要があるので直近事業年度末日を意識することがあり、依頼資料の準備の状況も把握しておくことが望ましいといえます。
株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたら弊社までご相談ください。