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株価算定の方法 ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)について

今回は、いくつかある株価算定の評価法のうち、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(以下、DCF法)についてご説明いたします。DCF法は、どのような評価方法で、どのような場合に利用されるのでしょうか。

DCF法とは

株価算定の方法はインカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、ネットアセット・アプローチの3つに分けられ、DCF法はインカム・アプローチに分類される評価法です。DCF法とは、対象会社のフリー・キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことで企業価値とする方法です。

DCF法による評価額の計算方法

DCF法では、下記の流れで計算します。

1.フリー・キャッシュ・フローを計算する

フリー・キャッシュ・フローとは、企業が事業活動を通じて得た資金のうち、自由に使える額です。以下のとおり計算します。

 フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー 

一般的には、対象会社の事業計画に基づき、1年~5年後までの各年のフリー・キャッシュ・フローを計算します。

2.割引率を計算する

割引率とは、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割り引くときに用いる数値です。DCF法では一般的にWACC(加重平均資本コスト)を利用します。以下のとおり計算します。

 割引率 = 株主資本コスト × 資本の構成割合 + 負債コスト × 負債の構成割合 

3.ターミナルバリューを計算する

ターミナルバリュー―とは、企業が継続する前提で、事業計画の最終年度以降に生じるフリー・キャッシュ・フローを現在価値で割り引いた額の総合計値です。以下のとおり計算します。

 ターミナルバリュー = 最終予測事業年度の翌期のフリー・キャッシュ・フロー ÷ ( 資本コスト - 永久成長率 )

4.事業価値を計算する

事業価値とは、フリー・キャッシュ・フローとターミナルバリューを現在価値に割り引いた合計金額です。以下のとおり計算します。

 事業価値 = 各年のフリー・キャッシュ・フローの現在価値合計額 + ターミナルバリューの現在価値合計額

5.株式価値を計算する

株式価値とは、事業価値に非事業資産等の時価を加算し、純有利子負債を控除した金額です。以下のとおり計算します。

 株式価値 = 事業価値 + 非事業資産等 ― 純有利子負債 

6.その他の調整

必要に応じて、下記のような調整を検討する場合もあります。

  • マイノリティディスカウント

 株式の保有比率が低い場合、価値の低下を反映させることがあります。

  • 非流動性ディスカウン

 評価対象の株式が非上場の場合、買い手をみつけにくい分の減額を反映させることがあります。

DCF法の特徴

DCF法のメリットとデメリットをふまえ、DCF法がどのような局面で利用されるのかについて、以下に示します。

DCF法のメリット

・対象会社の将来のキャッシュ・フローから企業価値を算定するため、対象会社に固有の「のれん」や将来に対する収益獲得への期待、事業計画を反映させた評価を行なうことができます。

・DCF法は理論的な評価方法と言われており、認知度が高く広い範囲で利用されています。

DCF法のデメリット

・DCF法では、対象会社の事業計画や割引率を用いた仮定計算を行いますが、将来の予測であるがゆえに不確実性は伴います。対象会社の事業計画や割引率から恣意性を排除できず、客観性が低くなってしまう場合があります。

・難易度の高い専門知識や大量のデータを必要とするため、計算が複雑になります。

DCF法が利用される局面

・DCF法は、将来のキャッシュ・フローから企業価値を算定する評価法ですので、広い範囲で将来の収益獲得が期待できる会社の評価に利用されます。例えば、現在の業績が低調で純資産が小さくても将来の成長性が期待されるベンチャー企業、ブランド力、営業権、知的財産などの無形資産から今後の収益獲得が期待されるような企業にも向いています。しかし、廃業や清算、事業活動の停止が予定されており将来の収益獲得が重視されない企業には向いていません。

・DCF法で用いる対象会社の事業計画や割引率は、DCF法の計算の基礎的な部分になります。合理的、妥当な事業計画や割引率が利用できるならば、DCF法は論理的な評価方法として向いています。

まとめ

DCF法は、対象会社の将来性を反映した評価を行なうことができ、理論的な手法なのですが、不確実な将来を予測することが伴うので客観性が低くなってしまう場合もあります。将来の事業計画の合理性や利用する割引率の妥当性には留意が必要です。そもそも株価算定は案件ごとに異なるものですから一概に言えるものではありませんが、DCF法の特徴をふまえ、他の評価法との併用や折衷による株価算定を考慮することも必要です。

M&Aや事業承継、株価に関する裁判や係争問題、経営戦略の検討など、重要な場面で株価算定が行われることがあります。株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたらご相談ください。

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