ブログ

株価算定は、誰が依頼する?ケース別依頼者の例

株価算定を専門家へ依頼する場合、誰が依頼するのでしょうか。どのような場合があるのでしょうか。以下でご説明します。

誰が株価算定を依頼するのか、決まっているのかどうか

一概に株価算定を依頼するとはいっても案件によって状況は様々です。案件ごとに株価算定の背景、目的、必要とする理由は異なります。

誰が株価算定を専門家に依頼するかということについて、特に決まりはありませんが、何らかの必要性があるところが専門家に株価算定を依頼することになります。

よって、誰が株価算定を依頼するのか、といえば、株価算定の必要性を認識した方、ということになります。

誰が株価算定を依頼するのか、どのような場合があるのか

株価算定の案件によって、背景や目的が異なるばかりではなく、評価する対象会社の経営状況なども異なります。よって一概に誰が株価算定を専門家へ依頼するのかを示すことは難しいのですが、例をあげるとしたら、下記のような場合があります。

非上場会社の株式を親族間で譲渡する時の株価算定の場合

オーナー系の一族が経営する非上場会社では、複数の親族が株主になっていることが多く、親族間で株式を譲渡する際には株式の譲渡価額をどうすればよいのか、という問題に直面することがあります。

親族間での話し合いで決めた譲渡価額で株式を譲渡することで、後々になって税務上の問題が生じることを懸念する場合があります。税法上、時価よりも低い株価での取引として、低額譲渡に該当すれば、思わぬところで法人税、所得税、贈与税が課されてしまいます。仮に税務調査が入った時に、その譲渡価額の妥当性、合理性について説明できるようにするため、専門家への株価算定の依頼を検討することがあります。

こうした場合に、オーナー社長が専門家へ株価算定を依頼することがあります。

弁護士、法律事務所が関与する案件での株価算定の場合

非上場会社の株式を譲渡する際に、対象会社の株価が争点となって株式の売り手と買い手の協議で話がまとまらないことがあります。案件の状況によっては、弁護士や法律事務所が関与することもあり、裁判に至る場合もあります。

このような場合には、売り手又は買い手自身が主張する株価について、その金額の論拠、計算過程、結論を文書化することが必要となります。裁判所へ文書を提出することになれば、会社法に照らした裁判上の公正な価格が検討されることになります。案件の進展状況に応じて相手方、弁護人、裁判所に対して文書で提出できるようにしておくことは必要です。

こうした場合に、売り手又は買い手の当事者から専門家へ株価算定を依頼することがあります。

企業がM&Aで非上場会社を譲り受ける案件での株価算定の場合

企業がM&Aで非上場会社を譲り受ける際には、M&Aの交渉の段階や企業内部での協議検討に利用する目的で、専門家から提示された株価算定書を必要とする場合があります。M&Aなど特に重要な案件になるほど、対象会社の株価は何に基づいて評価し取引するのか、専門家が対象会社の公正な株価を記載した文書を入手したかどうか、が意識されることがあります。

こうした場合に、企業側から専門家へ株価算定を依頼することがあります。多くの場合は、企業側の経理、財務、総務など管理系の部門の担当者が窓口となって、専門家へ株価算定を依頼します。

企業が第三者割当増資を行う時の株価算定の場合

企業が第三者割当増資するにあたり、新たな株主が引き受ける株価が高すぎたり低すぎたりすれば、新たな株主と既存の株主との間で不公平が生じます。また、税法上、時価よりも低い株価で新たな株主が増資を引き受けることによって低額譲渡に該当してしまうようなことになれば、思わぬところで法人税、所得税、贈与税などを課される可能性が生じます。

こうした場合に、企業側から専門家へ株価算定を依頼することがあります。多くの場合は、企業側の経理、財務、総務など管理系の部門の担当者が窓口となって、専門家へ株価算定を依頼します。

相続、贈与の時の株価算定の場合

非上場会社の株式が相続税及び贈与税の申告・納付の対象に含まれる場合、対象会社の株価算定を含めた申告書の作成や相談を専門家へ依頼することがあります。相続や贈与の前段階で、対象会社の株式の評価額を把握して納税の準備を進めるために、株価算定を専門家へ相談することもあります。

相続の場合は相続人又は相続の予定者が、贈与の場合は受贈者又は受贈の予定者が、専門家へ株価算定を依頼します。

役員や従業員との間で自社の非上場の株式を譲渡する時の株価算定の場合

自社の非上場の株式を、新たに就任した役員や新たに入社した従業員に企業側から譲渡したり、退任した役員や退職した従業員から企業側が譲受けたりする場合があります。このように、企業と役員及び従業員との間で自社の株式を譲渡する際に、外部の専門家が公正な評価額を算定することがあります。

こうした場合に、企業側から専門家へ株価算定を依頼することがあります。多くの場合は、企業側の経理、財務、総務など管理系の部門の担当者が窓口となって、専門家へ株価算定を依頼します。

企業グループ内の非上場会社の株式を譲渡する時の株価算定の場合

企業が保有するグループ内の非上場会社の株式を譲渡する際に、企業内部の社内会議、稟議書回覧を通じて、譲渡価額を含めた取引条件が吟味検討されます。対象会社の株価は何に基づいて評価し取引するのか、専門家が対象会社の公正な株価を記載した文書を入手することが検討される場合があります。

こうした場合に、企業側から専門家へ株価算定を依頼することがあります。多くの場合は、企業側の経理、財務、総務など管理系の部門の担当者が窓口となって、専門家へ株価算定を依頼します。

まとめ

株価算定は、誰が依頼するのか、というご説明でした。案件によって株価算定の目的や必要とされる背景が異なるため一概に示すことは難しいですが、傾向として、オーナー会社の経営者、企業の管理系部門の方、裁判を想定して自身が主張する株価の文書化を希望される方、などが専門家へ依頼することが多いといえます。

株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたら弊社までご相談ください。

関連記事

  1. 裁判目的の株価算定の想定事項、留意事項
  2. 株価算定の方法~適切な評価方法の選択時の留意点
  3. ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)の…
  4. 株価算定事例 実質債務超過の企業の評価
  5. 株価算定の方法 年買法(年倍法)について
  6. 株価算定の方法 二項モデルによるストック・オプションの評価につい…
  7. 高層ビル群 株価算定の方法~時価純資産法について
  8. DCF法による株価算定の裁判例(旧K社案件)
PAGE TOP