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どうして株価が上がるのか、株価算定との関係

会社の株価は、なぜ上がったり下がったりするのでしょうか。上場会社の場合、買い手と売り手の需給のバランスで株価が上がったり下がったりします。非上場会社の場合、客観的な市場価格がないので株価算定が必要になりますが、どのような場合に株価が上がるのか、株価算定との関係を含めてご説明いたします。

どうして株価が上がるのか(上場会社の場合)

上場会社の場合、会社の株式は証券取引所で売買され、客観的な市場価格となる株価が存在します。

会社の株価が変動する背景には、その会社の業績、将来性、人気、だけではなく景気の状況や社会情勢など様々なことが関係するのですが、株価は会社の株式の需要と供給のバランスで決まります。買いたい人が多ければ株価は上がり、売りたい人が多ければ株価は下がります。

よって、どうして株価が上がるのか、といえば、買いたいという人が多いから、ということに尽きます。

どうして株価が上がるのか(非上場会社の場合)

非上場会社の場合は客観的な市場価格が無いので、会社の株式の価値を計算するためには株価算定が必要となります。ただし、対象会社の状況や案件の目的などによって株価算定の手法が異なります。下記では、国税庁方式、ディスカウント・キャッシュ・フロー法、時価純資産法についてご紹介いたします。

相続税及び贈与税の申告を目的とした国税庁方式の株価算定の場合

相続税及び贈与税の申告を目的とした株価算定では、国税庁が公表する財産評価基本通達に基づいて対象会社の評価額を計算します。対象会社を大会社、中会社、小会社に区分したうえで、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式で評価額を計算します。一概には言えませんが、純資産価額方式による評価が高くなり、配当還元方式による評価が低くなる傾向があります。

相続税及び贈与税の申告を目的とした国税庁方式の株価算定の場合、どうして株価が上がるのか、といえば、純資産価額方式で評価額を計算するウェイトが大きいから、という場合が多いです。

なお、国税庁方式の3つの方式それぞれについては、以下の通りです。

・類似業種比準方式を用いた場合、対象会社の直近の配当、利益、純資産の増加は、株価が上がる要因となります。

・純資産価額方式を用いた場合、対象会社の内部留保、含み益の増加は株価が上がる要因となります。

・配当還元方式を用いた場合、対象会社の直近2年の配当の増加は株価が上がる要因となります。

 国税庁方式の株価算定について、詳しくは下記をご参照ください。

ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)の株価算定の場合

ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)は、対象会社のフリー・キャッシュ・フローを現在価値に割引計算して企業価値を算定する方法です。ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)では、対象会社が今後獲得する見込みのフリー・キャッシュ・フロー、成長率、現在価値に割引計算するための割引率、等を用いた計算を行います。

よって、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)による株価算定の場合に、どうして株価が上がるのか、といえば、対象会社の将来のフリー・キャッシュ・フローの獲得見込が大きいから、割引率の数値が小さいから、といった場合が多いです。

 ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)の株価算定について、詳しくは下記をご参照ください。

時価純資産法の株価算定の場合

時価純資産法は、対象会社の資産と負債を時価で評価して、含み損益を時価に評価替えして、時価純資産の額を企業価値とする方法です。時価純資産法では、対象会社の帳簿上の純資産すなわち簿価純資産に含み損益を考慮した評価を行うため、対象会社の内部留保に含み損益を加減算した計算を行います。

よって、時価純資産法による株価算定の場合に、どうして株価が上がるのか、といえば、対象会社の直近の内部留保及び含み益が大きいからです。

 時価純資産法の株価算定について、詳しくは下記をご参照ください。

まとめ

どうして株価が上がるのか、上場会社と非上場会社に分けてご説明いたしました。

上場会社の株価は売り手と買い手の需要と供給のバランスで決まりますので、買いたい人が多ければ株価は上がります。

非上場会社の株価は株価算定の手法によって異なります。国税庁方式の場合は、純資産価額方式で評価額を計算するウェイトが大きければ株価は上がる場合が多いです。ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)の場合は、将来のフリー・キャッシュ・フローの獲得見込が大きい場合や割引率が小さい場合は株価が上がります。時価純資産法の場合は、内部留保及び含み益が大きければ株価は上がります。

株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたら弊社までご相談ください。

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