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ストック・オプションの株価算定について

企業が自社の従業員等にストック・オプションを付与し、専門家が株価算定を行うことがあります。そもそもストック・オプションとはどういうもので、なぜ金額の評価が問題になるのか、評価方法、留意事項について、下記で概略をご説明いたします。

ストック・オプションとは

ストック・オプションとは、企業の従業員等が、企業の株式を一定の行使価格で購入できる権利のことをいいます。

企業の株価が上昇すればするほどストック・オプションを付与された従業員等の報酬が大きくなるので、ストック・オプションはモチベーションのアップにつながることが期待されます。

ストック・オプションの株価算定の必要性

企業が自社の従業員等に対してストック・オプションを付与したら、企業側は決算書に新株予約権や各期の費用を計上することが必要になり、付与された従業員側としても将来権利行使したときの株式の取得金額と売却金額を計算して税務上の対応をすることが必要になります。

ストック・オプションの会計処理などのガイダンスとして、企業会計基準委員会が「企業会計基準第8号 ストック・オプション等に関する会計基準」「企業会計基準適用指針第11号 ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」を公表しています。

ストック・オプション等に関する会計基準第3項及び第5項では、企業が自社の従業員にストック・オプションを付与する場合は、ストック・オプションの公正な評価単価に基づく公正な評価額を基礎として算定することが示されています。

また、通常のストック・オプションでは市場価格が無いことから、ストック・オプション等に関する会計基準第48項では、一定の能力を有する独立第三者間で自発的に形成されると考えられる合理的な価格を見積もるためのモデルとして、ブラック・ショールズ式、二項モデルが示されています。

上記のストック・オプションに関する会計基準、適用指針によれば、企業が自社の従業員等に付与したストック・オプションは、ブラック・ショールズ式、二項モデルを利用して公正な評価額を算定することになります。

ストック・オプションの公正な評価額の算定方法

下記では、ストック・オプション等に関する会計基準第48項及びストック・オプション等に関する会計基準の適用指針第2項で示されているブラック・ショールズ式、二項モデルをご説明いたします。いずれも一定の仮定に基づいて将来株価が変動する前提でストック・オプションの価値がどう定まるかを算定するモデルなのですが、ストック・オプションの価値の変化が連続的か断続的の違いです。

ブラック・ショールズ式によるストック・オプションの評価

ブラック・ショールズ式は、将来の株価の変動が、一定の確率的な分布に基づいて常時連続的に生じると仮定して評価する方法です。ブラック・ショールズ式は、連続時間型モデルの典型例です。

二項モデルによるストック・オプションの評価

二項モデルは、将来の株価の変動が、一定間隔の時点において一定の確率に基づいて生じると仮定して評価する方法です。二項モデルは、離散時間型モデルの典型例です。

ストック・オプションの株価算定における留意事項

ストック・オプションの付与や新株予約権の発行にあたり、ストック・オプションの評価の妥当性に疑義が生じ、法令面、税務面、会計面で何らかの問題が生じてしまうことは回避すべきです。何に基づいて、どのような計算過程で評価したのか文書で記録し、説明できるようにすることが望ましいといえます。ストック・オプションの評価は複雑であり、専門家へ株価算定を依頼することが一般的です。

まとめ

今回はストック・オプションの株価算定について、概略をご紹介しました。企業の従業員等に対してストック・オプションを付与する場合、関連する会計基準や適用指針によれば、ブラック・ショールズ式、二項モデルを利用して公正な評価額を算定することが示されています。

株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたら弊社までご相談ください。

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