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株価算定の方法~ 純資産価額方式(国税庁)について

相続、贈与のときの非上場株式の評価のルールは、国税庁の財産評価基本通達で定められています。財産評価基本通達では、評価対象会社の規模や株主の状況によって、類似業種比準価額方式、純資産価額方式、配当還元方式の3つが定められています。

純資産価額方式は、どのような評価方法で、どのような特徴があるのでしょうか。実際の詳細な計算や通達の解釈では多くの複雑な部分がありますが、ここではある程度簡素にご説明いたします。

純資産価額方式とは

国税庁の財産評価基本通達では、相続、贈与のときに支配力の影響が大きい同族株主が保有する会社を評価する場合の原則的評価方式として、類似業種比準価額方式と純資産価額方式と両者の併用方式を定めています。

このうち純資産価額方式とは、対象会社が解散した場合にその会社の株主へ分配される正味の財産価値で評価額を算定する方法です。

純資産価額方式による計算について

計算式

 1株当たり評価額 =  ( X - Y - Z ) / 発行済株式数  

「X」相続税評価額で計算した資産の評価額

「Y」相続税評価額で計算した負債の評価額

「Z」評価差額に対する法人税額等相当

手順

相続税評価額で資産と負債の評価額を計算する(上記計算式の、X、Y)

対象会社のすべての資産、負債を、財産評価基本通達に基づいて評価します。

資産について、土地、建物、有価証券は時価で評価します。負債について、貸倒引当金、退職給与引当金などの引当金及び準備金は計算に含めず、被相続人の死亡に関連する退職手当金や功労金などは含めます。

評価差額に対する法人税額等に相当する金額を計算する(上記計算式の、Z)

相続税評価額で計算した資産と負債の差額すなわち純資産と、純資産の帳簿価額との間での含み益に対して37%を乗じて計算します。

発行済株式数で割って1株当たり評価額を計算する

計算式で示す通りですが、発行済株式数からは自己株式は除きます。

純資産価額方式の特徴

  • 純資産価額方式は、相続税、贈与税を計算するための評価方法であり、対象会社の清算価値で評価額を計算するものです。事業の継続を前提とする通常の事業会社の実態を勘案した企業評価ではないため、この方式を税金計算以外の他の目的で利用することは理論的ではありません。
  • 一概には言えませんが、純資産価額方式は類似業種比準価額方式と比較して、株式の評価額が高くなる傾向にあります。
  • 純資産価額方式による株式の評価額は、内部留保がある会社、高額な含み益のある会社、過去に多額の利益を計上しており営業権のある会社では、高くなる傾向にあります。

まとめ

純資産価額方式は、財産評価基本通達に定められた税金計算のための評価方法です。手順に沿って進めていけば計算結果にたどり着くものではありますが、実際は資産と負債の評価額を計算する過程が複雑で留意すべき点もあり、また、取り扱いを誤ることで相続税の評価額に影響が出る場合もあります。

株価算定は複雑で専門性が高いので、疑問点などございましたらご相談ください。

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